2009 |
01,20 |
4でしたかね。忘れてしまいました…。
何だかこの中ではどうにも陰が薄くなってしまう三男(ぇ)に光を当てよう編です。
まあ結局は一方通行なんですがね!(酷)ちょいとシリアス気味に。
それではよろしければどうぞー。
何だかこの中ではどうにも陰が薄くなってしまう三男(ぇ)に光を当てよう編です。
まあ結局は一方通行なんですがね!(酷)ちょいとシリアス気味に。
それではよろしければどうぞー。
何が起こったのかよく分からなかった。
いや、正確には何が起こっているのか、と言うべきか。
気が付けば背中には壁。無機質なコンクリートの冷たに体中が冷えていきそうで。
それでもそうならないのは、体の正面が原因なのか。
影が落ちている。
少し高い、だがすぐ目の前にある顔。
両腕は芭蕉を包み隠すように壁へと伸びている。
「……ま、正字くん?」
返事はない。
身動きができない。
このように囲まれていては当たり前だしそして何より、近い。
端整な顔。
いつもはへらりとしたような笑みか人を小馬鹿にしたような表情しかしないそれが、今は無表情。
そうしていると、本当に彼と区別がつかなくなってしまう。
本当にこの子達は兄弟なのだなと改めて思う。
脳裏に蘇る横顔と後姿。
「―――今、誰のこと考えた?」
漸く開かれた口から放たれたその言葉に、ぴくりと体が反応する。
不意打ちの言葉に驚かされただけではない。
「え、」
思わず口ごもる。
(あ、あれ……何で今、私)
曽良くんのこと、考えたんだろう。
無意識に過ぎった彼の存在に自分でも驚き、動揺した。
混乱している此方の様子を正字は表情をそのままにじっと見つめている。
しかしやがてはー……と呆れたようにため息をついて。
「無自覚かよ……」
勝ち目、ねぇじゃーか。
そう一人ごちた。
解かれる仮初の拘束。
視界がやけに広くなった錯覚を覚える。
「え、な、何どういうこと?」
わしわしと頭を掻く正字に慌てて質問を投げかける。
先ほどまでの凍りついたような、張り詰めたような空気は既に殆どなかった。
「あー、まあ。世の中にはどうでもいいことってあるだろ」
面倒くさそうに此方を一瞥した後、そう告げてからまた大きくため息をついた。
「な、何だよそれ…君ら面倒くさくなったらそれで全部済まそうとしない?」
「芭蕉さんの癖に良く考えましたね。褒めてさしあげま す よ」
語尾を強調しながら、わざとらしい敬語で答える。
その態度に思わずかちんときた。
何なんだ。
いきなり変な行動をしたり、かと思えばすぐにいつも通りに戻ったり。
(何がしたいんだよチクショー!)
だがそのいつも通りに、何故か酷く安堵感を覚える。
そこまで感じて何故そんなことを感じたのだろうかと、またしても疑問が湧いてきた。
それはつまり知らない間に緊張していたということで。
…まあ、いきなり壁際に追い詰められては誰でも緊張はする、だろうし。
(間違いじゃないのかな)
それに加えて相手は正字である。あの美しい顔が眼前に迫っては女性でなくても緊張するだろう。
それは間違いではないはずである、……多分。
此方の葛藤を余所にまた正字はぽつりと。
「惣五郎兄の気持ちが初めて分かった気がする」
そんなことを零した。
またしても意味が分からない。
というか正字を含むこの兄弟は全体的に意味が分からない。
「な、何で惣五郎くんなの?」
「何でも。どうせ答えないって分かってるんだから聞かなくていいよ」
ぽむ、と頭に手が載せられる。
それは最近日常的な動作となっていることで、もう今更それを咎める気にもならない。
他の兄弟とは違い、家庭の仕事を行う手はそれでも白く、骨ばった男性らしい綺麗さがある。
芭蕉は確かにその手がとても好きだから、そういう意味もあるのだけれど。
やがてくるりと背を向けて、正字は家路につくために歩き始めた。
それを慌てて追いかける。
横に並ぶくらいの距離になって、またもや何かを思いついたかのように「そうだ」と小さく呟いて。
まだ何かあるのだろうかとふと右にある顔を見上げると。
またしても無表情なあの顔が。
眼前に迫っていて。
息が止まった。
「……ぶっ、」
次の瞬間には崩れる表情。
いきなり噴出したと思ったら体全体で笑い始めた。
「え…ええぇ~ちょっと…」
本当に何がしたんだろう。
その様子を半ば呆然と眺めながら、小さく呟いた。
「わ、分かりやす…っ」
笑いを収めないまま、正字は歩を進める。
芭蕉も少し遅れながらついていく。
何だか異様にどぎまぎとしてしまっているのは、何故なのか自分でも分からないまま。
その少し後ろからの芭蕉の姿を視界の端で捉える。
さっきの反応ではっきりと分かってしまった。
この人が誰を見ているのか。
間違いなくその相手も、この人を見ているわけで。
(全く)
人生初の失恋…みたいなものに当たる訳なのだが。
そんなにも哀しくはないのは、この人の人格が成す技なのか。
それともまだ望みがない訳ではないからか。
「……まあ、」
そう簡単には兄貴にだけ良い思いはさせないし。
小さく、呟いた。
その言葉は芭蕉に聞き取られることはなかったらしい。
ほんの少しだけ不敵に微笑むと、すぐに先ほどの芭蕉の表情を思い出して噴出しそうになることを堪えた。
(せいぜい、あがいてみせますとも)
勝負は、まだまだこれから。
=================
ぐだぐだになってしまいました…;三男が何気に書きにくいことが判明。何と。
無意識に曽良くんを想っている芭蕉さん。
正字くんはいつも何かしら表情に動きがあるのですが、無表情になると曽良くんにそっくりになります。
なので真面目モードで迫られると芭蕉さんもびっくりどっきり。でも「ああやっぱりそうしてると曽良くんと似てるなぁ」という感じで、やっぱり曽良くんのことを考えてしまっています。
次男は女性に三男と間違われて言い寄られることが割とあるので、それが元でよく喧嘩になります。小ネタ1参照です。
今回は三男がそれと似たような思いをする番でした。まあ相手が本命な分ダメージは大きいです。
あ、でも普段は芭蕉さんはちゃんと四人それぞれの個性や違いを認識しています。それが四人にとってもときめきポイントでもあります。
しかし似ていることが武器にもなるということを正字くんは最後に気付いた…とい感じの話だったのです、が。はい。
う、上手く言い表せません…ううう文才が………。
いや、正確には何が起こっているのか、と言うべきか。
気が付けば背中には壁。無機質なコンクリートの冷たに体中が冷えていきそうで。
それでもそうならないのは、体の正面が原因なのか。
影が落ちている。
少し高い、だがすぐ目の前にある顔。
両腕は芭蕉を包み隠すように壁へと伸びている。
「……ま、正字くん?」
返事はない。
身動きができない。
このように囲まれていては当たり前だしそして何より、近い。
端整な顔。
いつもはへらりとしたような笑みか人を小馬鹿にしたような表情しかしないそれが、今は無表情。
そうしていると、本当に彼と区別がつかなくなってしまう。
本当にこの子達は兄弟なのだなと改めて思う。
脳裏に蘇る横顔と後姿。
「―――今、誰のこと考えた?」
漸く開かれた口から放たれたその言葉に、ぴくりと体が反応する。
不意打ちの言葉に驚かされただけではない。
「え、」
思わず口ごもる。
(あ、あれ……何で今、私)
曽良くんのこと、考えたんだろう。
無意識に過ぎった彼の存在に自分でも驚き、動揺した。
混乱している此方の様子を正字は表情をそのままにじっと見つめている。
しかしやがてはー……と呆れたようにため息をついて。
「無自覚かよ……」
勝ち目、ねぇじゃーか。
そう一人ごちた。
解かれる仮初の拘束。
視界がやけに広くなった錯覚を覚える。
「え、な、何どういうこと?」
わしわしと頭を掻く正字に慌てて質問を投げかける。
先ほどまでの凍りついたような、張り詰めたような空気は既に殆どなかった。
「あー、まあ。世の中にはどうでもいいことってあるだろ」
面倒くさそうに此方を一瞥した後、そう告げてからまた大きくため息をついた。
「な、何だよそれ…君ら面倒くさくなったらそれで全部済まそうとしない?」
「芭蕉さんの癖に良く考えましたね。褒めてさしあげま す よ」
語尾を強調しながら、わざとらしい敬語で答える。
その態度に思わずかちんときた。
何なんだ。
いきなり変な行動をしたり、かと思えばすぐにいつも通りに戻ったり。
(何がしたいんだよチクショー!)
だがそのいつも通りに、何故か酷く安堵感を覚える。
そこまで感じて何故そんなことを感じたのだろうかと、またしても疑問が湧いてきた。
それはつまり知らない間に緊張していたということで。
…まあ、いきなり壁際に追い詰められては誰でも緊張はする、だろうし。
(間違いじゃないのかな)
それに加えて相手は正字である。あの美しい顔が眼前に迫っては女性でなくても緊張するだろう。
それは間違いではないはずである、……多分。
此方の葛藤を余所にまた正字はぽつりと。
「惣五郎兄の気持ちが初めて分かった気がする」
そんなことを零した。
またしても意味が分からない。
というか正字を含むこの兄弟は全体的に意味が分からない。
「な、何で惣五郎くんなの?」
「何でも。どうせ答えないって分かってるんだから聞かなくていいよ」
ぽむ、と頭に手が載せられる。
それは最近日常的な動作となっていることで、もう今更それを咎める気にもならない。
他の兄弟とは違い、家庭の仕事を行う手はそれでも白く、骨ばった男性らしい綺麗さがある。
芭蕉は確かにその手がとても好きだから、そういう意味もあるのだけれど。
やがてくるりと背を向けて、正字は家路につくために歩き始めた。
それを慌てて追いかける。
横に並ぶくらいの距離になって、またもや何かを思いついたかのように「そうだ」と小さく呟いて。
まだ何かあるのだろうかとふと右にある顔を見上げると。
またしても無表情なあの顔が。
眼前に迫っていて。
息が止まった。
「……ぶっ、」
次の瞬間には崩れる表情。
いきなり噴出したと思ったら体全体で笑い始めた。
「え…ええぇ~ちょっと…」
本当に何がしたんだろう。
その様子を半ば呆然と眺めながら、小さく呟いた。
「わ、分かりやす…っ」
笑いを収めないまま、正字は歩を進める。
芭蕉も少し遅れながらついていく。
何だか異様にどぎまぎとしてしまっているのは、何故なのか自分でも分からないまま。
その少し後ろからの芭蕉の姿を視界の端で捉える。
さっきの反応ではっきりと分かってしまった。
この人が誰を見ているのか。
間違いなくその相手も、この人を見ているわけで。
(全く)
人生初の失恋…みたいなものに当たる訳なのだが。
そんなにも哀しくはないのは、この人の人格が成す技なのか。
それともまだ望みがない訳ではないからか。
「……まあ、」
そう簡単には兄貴にだけ良い思いはさせないし。
小さく、呟いた。
その言葉は芭蕉に聞き取られることはなかったらしい。
ほんの少しだけ不敵に微笑むと、すぐに先ほどの芭蕉の表情を思い出して噴出しそうになることを堪えた。
(せいぜい、あがいてみせますとも)
勝負は、まだまだこれから。
=================
ぐだぐだになってしまいました…;三男が何気に書きにくいことが判明。何と。
無意識に曽良くんを想っている芭蕉さん。
正字くんはいつも何かしら表情に動きがあるのですが、無表情になると曽良くんにそっくりになります。
なので真面目モードで迫られると芭蕉さんもびっくりどっきり。でも「ああやっぱりそうしてると曽良くんと似てるなぁ」という感じで、やっぱり曽良くんのことを考えてしまっています。
次男は女性に三男と間違われて言い寄られることが割とあるので、それが元でよく喧嘩になります。小ネタ1参照です。
今回は三男がそれと似たような思いをする番でした。まあ相手が本命な分ダメージは大きいです。
あ、でも普段は芭蕉さんはちゃんと四人それぞれの個性や違いを認識しています。それが四人にとってもときめきポイントでもあります。
しかし似ていることが武器にもなるということを正字くんは最後に気付いた…とい感じの話だったのです、が。はい。
う、上手く言い表せません…ううう文才が………。
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挙動不審眼鏡。とりあえず色んなことに妄想できたらそれでOK。現在はギ.ャ.グ.マ.ン.ガ.日.和に熱中。その他もろもろ。
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